Route

ルート紹介

南アルプスフロントトレイル(MAFT)は、東に富士山、西に白峰三山から南アルプス南嶺の山々を望む絶景の稜線歩きです。道中では、古くからの峠道とその歴史を通して、地域の文化に触れることができる「人と地域、過去と未来をつなぐ道」でもあります。

 北部エリアの夜叉神峠から薬袋間(約35km)は、3つのセクションに分かれており、アップダウンの多い本格的なコースとなっています。標高の高い北から南への下りルートが比較的歩きやすいですが、水場やエスケープルートが限られているため、事前の入念な計画が必要です。

詳細なルート情報は、専用マップをご活用ください。2025年現在、南アルプス市芦安の「山岳館」、早川町の「早川町観光協会」にて協力金(500円)をお支払い頂いた方にマップをお配りしています。

セクション01

Section 01

夜叉神峠登山口 〜池の茶屋峠

白峰三山の絶景パノラマを望むことができる夜叉神峠展望台から、南へ高谷山、平で見渡しの良い樺平を抜け、古の交易に使われていたドノコヤ峠、唐松峠、池の茶屋峠を巡るセクション。
他のセクションと比べるとアップダウンが激しく距離が長めでハードなセクションですが、南アルプス方面の絶景は随一。旧・芦安村(現・南アルプス市)の人々による、かつての炭焼きや鉱山跡地、交流交易の峠を巡り、古の営みを感じられるルートです。

水平距離
約12.7km
所要時間
約12時間

セクション02

Section 02

池の茶屋峠 〜 十谷峠

池の茶屋峠から足馴峠、倉尾山、十谷峠に至るセクション。塩見岳以南の南アルプスの山々、赤石岳や悪沢岳を望むことができ、南東方面に富士山がくっきりとその姿を現す。
距離は短めでアップダウンもさほど無いが、倉尾山から南下する部分は急である。足馴峠は、富士川町と早川町のかつての人々の交流交易、早川町の西山温泉への湯治客が利用した歴史を持つ。

水平距離
約9.3km
所要時間
約7時間

セクション03

Section 03

十谷峠 〜 薬袋

十谷峠から御殿山、富士見山を抜け早川町の薬袋集落を繋ぐセクション。富士山の展望スポットが随所にある。
富士見山と薬袋集落の標高差が1,000m超あるが、集落の近くではかつての人々の暮らしの名残を感じながら、眺望を楽しむことが出来る。

水平距離
約12.4km
所要時間
約9時間
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MAFTの見どころ

Section Highlights

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夜叉神峠

夜叉神峠

山の生業と信仰が交わる歴史の峠道です。かつて芦安の人々は、この峠を越えて野呂川流域へ入り、板材や曲げわっぱを作る林業を営みました。1902年にはウェストンもこの道を通って北岳を目指しています。峠近くの祠には、御勅使川上流の村人たちを守るため、夜叉神を鎮めた伝説が残っています。

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ドノコヤ峠

芦安と奈良田を結ぶ、人々の絆が息づく古道です。奈良田峠とも呼ばれ、大正時代には「銅ノ古家」鉱山が開かれ、昭和30年頃まで金銀銅が採掘されました。両村の婚姻関係も深く、嫁入り・婿入りの道としても栄えました。孝謙天皇もこの峠を越えて奈良田に来たという伝説が残ります。

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池の茶屋峠

昭和20年頃まで、早川町奈良田と旧増穂町の交易の要衝として賑わいました。池のほとりの茶屋で、増穂からの強力(ごうりき)が運ぶ米・麦・塩と、奈良田の特産品である下駄や曲物が取引された歴史ある峠です。往時の面影を残す休憩ポイントとして人気があります。

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足馴峠

西山温泉への「湯島道」の要所として知られる峠です。トロッコ道が整備される以前、湯治客たちはこの峠を越えて温泉へ向かい、強力たちが背負子で客を運びました。日本山岳会初代会長の小島烏水をはじめ、草創期の登山家たちも、この道を通って南アルプスを目指しました。

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十谷峠

早川町と富士川町を結ぶ、生活物資の交易路でした。新倉・茂倉の人々は、和紙の原料や木炭、蚕の繭を背負って十谷・鰍沢へ運び、帰りには日用品を仕入れて帰りました。「酒を背負って帰る途中で飲み干してしまった」という笑い話が、往時の峠道の賑わいを今に伝えています。

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富士見山展望台

MAFTの隠れた絶景スポットです。富士山の勇姿を正面に望む特等席で、澄んだ日には雄大な山容がくっきりと浮かび上がります。稜線歩きの途中で、ふと視界が開けた先に現れる絶景に、思わず足を止めてしまう感動のビューポイントです。