Route

ルート紹介

南アルプスフロントトレイル(MAFT)は、東に富士山、西に白峰三山から南アルプス南嶺の山々を望む絶景の稜線歩きです。道中では、古くからの峠道とその歴史を通して、地域の文化に触れることができる「人と地域、過去と未来をつなぐ道」でもあります。

 北部エリアの夜叉神峠から薬袋間(約35km)は、3つのセクションに分かれており、アップダウンの多い本格的なコースとなっています。標高の高い北から南への下りルートが比較的歩きやすいですが、水場やエスケープルートが限られているため、事前の入念な計画が必要です。

詳細なルート情報は、別売の専用マップをご活用ください。

セクション01

Section 01

夜叉神峠登山口 〜池の茶屋峠

Leaflet, © OpenStreetMap contributors
Leaflet, © OpenStreetMap contributors

白峰三山の絶景パノラマを望むことができる夜叉神峠展望台から、南へ高谷山、平で見渡しの良い樺平を抜け、古の交易に使われていたドノコヤ峠、唐松峠、池の茶屋峠を巡るセクション。
他のセクションと比べるとハードなセクションだが、南アルプス方面の絶景は随一で、かつての炭焼き跡地や交流交易の峠を巡り、古の営みを感じられるルートです。

水平距離
約12.7km
所要時間
約12時間

セクション02

Section 02

池の茶屋峠 〜 十谷峠

Leaflet, © OpenStreetMap contributors
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櫛形山から富士見山へと続く爽快な稜線歩き。緩やかな起伏の中、東西に広がる大展望を楽しめます。初夏には高山植物が彩りを添え、秋には紅葉が目を楽しませてくれます。昔ながらの峠道には、往時を偲ばせる石祠が点在し、山岳信仰の歴史も感じられる区間です。

水平距離
約9.3km
所要時間
約7時間

セクション03

Section 03

十谷峠 〜 薬袋

Leaflet, © OpenStreetMap contributors
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深い森と岩場の組み合わせが変化に富む区間。かつて生活用品や木材を運んだ歴史ある峠道を通り、徐々に標高を下げていきます。天気が良ければ富士山と南アルプスの雄大な眺めを独り占めできる静かな山歩きが楽しめます。随所に残る古い架線跡が、山の暮らしを物語ります。

水平距離
約12.4km
所要時間
約9時間
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MAFTの見どころ

Section Highlights

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夜叉神峠

夜叉神峠

山の生業と信仰が交わる歴史の峠道です。かつて芦安の人々は、この峠を越えて野呂川流域へ入り、板材や曲げわっぱを作る林業を営みました。1902年にはウェストンもこの道を通って北岳を目指しています。峠近くの祠には、御勅使川上流の村人たちを守るため、夜叉神を鎮めた伝説が残っています。

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ドノコヤ峠

芦安と奈良田を結ぶ、人々の絆が息づく古道です。奈良田峠とも呼ばれ、大正時代には「銅ノ古家」鉱山が開かれ、昭和30年頃まで金銀銅が採掘されました。両村の婚姻関係も深く、嫁入り・婿入りの道としても栄えました。孝謙天皇もこの峠を越えて奈良田に来たという伝説が残ります。

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池の茶屋峠

昭和20年頃まで、早川町奈良田と旧増穂町の交易の要衝として賑わいました。池のほとりの茶屋で、増穂からの強力(ごうりき)が運ぶ米・麦・塩と、奈良田の特産品である下駄や曲物が取引された歴史ある峠です。往時の面影を残す休憩ポイントとして人気があります。

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足馴峠

西山温泉への「湯島道」の要所として知られる峠です。トロッコ道が整備される以前、湯治客たちはこの峠を越えて温泉へ向かい、強力たちが背負子で客を運びました。日本山岳会初代会長の小島烏水をはじめ、草創期の登山家たちも、この道を通って南アルプスを目指しました。

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十谷峠

早川町と富士川町を結ぶ、生活物資の交易路でした。新倉・茂倉の人々は、和紙の原料や木炭、蚕の繭を背負って十谷・鰍沢へ運び、帰りには日用品を仕入れて帰りました。「酒を背負って帰る途中で飲み干してしまった」という笑い話が、往時の峠道の賑わいを今に伝えています。

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富士見山展望台

MAFTの隠れた絶景スポットです。富士山の勇姿を正面に望む特等席で、澄んだ日には雄大な山容がくっきりと浮かび上がります。稜線歩きの途中で、ふと視界が開けた先に現れる絶景に、思わず足を止めてしまう感動のビューポイントです。